住宅ローンが残っている場合、相続税はどうなりますか?
1 住宅ローンが残っている場合の相続税の扱い
被相続人の方に住宅ローンが残っている状態で相続が開始されると、住宅ローンは相続債務となりますので、原則として相続財産から控除され、相続税額が低減されます。
もっとも、住宅ローンの法律関係は一般的な債務とは異なることがあり、被相続人の死亡に伴い残債がなくなることがあります。
そのような場合には、相続人は住宅ローンを負担しないで済む代わりに、相続税の計算の際に相続財産から住宅ローン残債額を控除することもできなくなります。
以下、これらのことについて詳しく説明します。
2 相続税の計算における相続債務の控除
相続税の計算は、被相続人の相続財産(みなし相続財産含む)の評価額から相続債務(葬儀関連費含む)を控除した金額に、税率を掛け合わせることで行われます。
相続税の計算方法について、具体例をこちらでご紹介していますのでご参照ください。
被相続人に債務がある場合には、残債の金額が相続財産の評価額から控除されますので、結果として相続税の金額も下がります。
参考リンク:国税庁・相続財産から控除できる債務
3 住宅ローンと団体信用生命保険
住宅ローンは、一般的な債務と異なり、ローン契約をする際に多くの場合で団体信用生命保険(団信)に加入します。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者がなくなった際、死亡保険金が金融機関に支払われることで、住宅ローンが返済されるという保険です。
これにより、相続人は住宅を処分せずに済みます。
その代わり、相続税の計算の際、相続財産の評価額から住宅ローンの残債額を控除することはできなくなります。
なお、団体信用生命保険は、被相続人の方の健康状態等によっては加入できないこともありますので、被相続人に住宅ローンがある場合には、団体信用生命保険に加入しているか否かをしっかり確認しておく必要があります。
4 被相続人が団体信用生命保険以外の生命保険に加入している場合
何らかの事情があって被相続人が団体信用生命保険に加入していない場合であっても、別の生命保険に加入していることもあります。
被相続人死亡に伴って支払われる死亡保険金は、必ずしも住宅ローンの返済に用いる必要はありませんが、住宅ローンの残債は多額であることも多いので、死亡保険金を住宅ローンの返済に用いることが多いです。
この場合、相続税の計算においては、死亡保険金が相続財産に含まれ(死亡保険金については一定の非課税枠が適用されます)、かつ住宅ローンの残債が相続財産から控除されることになります。
相続税申告の際、住宅ローンをどのように扱うのかお悩みの方は、相続税に詳しい税理士にご相談ください。
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